おっさんずラブ黒澤武蔵にブラボー
「いい恋だったんですね」
この一言で予想外に号泣してしまったおっさんずラブ最終話。
土曜の夜に湧き上がってきた部長へのブラボーな気持ちのしまい場所がわからないまま朝になり、日曜になってもまだ私の中のブラボー隊がブラボーブラボー!なんてどよめきっぱなしだったから久々にもうここに書いてしまおう。
はるたんへの恋に破れた部長
「楽しかったことしか思い出さないなぁ」
武川主任は優しく「いい恋だったんですね」って。
ほんと部長、いい恋だったねと泣きながらTV画面に向かって何回も頷いてしまった。
だって部長はずっとはるたんに全力でぶつかっていった全力おっさんだったもんね。グイグイ突き進むアプローチにはるたんが困ってしまっていても部長は持ち前の乙女で素直な心の声に従って、なおもグイグイとこの恋を実らせようとした。うっかり暴走しちゃうところもあったかもしれないが、その恋は本気だったし、正直だったし、本物だった。
仕事が出来て人望もあってダンディな黒澤部長をここまでにしてしまうこの 恋のチカラ ってヤツは計り知れない。
傷心のはるたんを見守るように鼓舞するように寄りそって過ごした日々はきっと宝物のような時間だったのではないかな。
そしてはるたんからプロポーズの承諾をもらった喜びの境地にいる部長でも、はるたんの正直な心の中には別のひとがまだいることに気づいてしまうんだ。
これね、せつないんだ。
どんなに自分ががんばってもこればかりはどうしようもない。自分から放出する恋のビームも命中しなきゃただの・・・イヤなんでもない。
結婚式当日の誓いのキスのシーンでそのことがはっきりとわかった部長は、披露宴はすでにキャンセル済みだと優しい嘘をついてはるたんの恋を応援する立場にまわる。
部長はきっと、全力で恋したはるたんにも自分と同じように全力で恋にぶつかっていってほしいと思ったのだろうな。
はるたん流されっぱなしだったからな。
そして披露宴に参列してくれたみんなに「フラれちゃった」と。
元妻の蝶子さんと会社の部下たちが抱きついて部長の代わりに涙を流してくれたのは救われたんじゃないかな。
ほんとにこういう時って、まわりの人が本当に優しいんだ。
だって恋を経験してる人はわかるから。その恋に破れた人の気持ちが。
屋上で「楽しかったことしか思い出さないなぁ」と言った部長。
部長が思い出す楽しかったことってどのシーンなのだろう?
11年という長い恋の呪縛のようなものから解放されて少しスッキリした表情の部長に武川主任が
「いい恋だったんですね」
と言ってくれたことが、私がこのドラマを見ていて一番うれしかった。
この言葉に、あなたは全力でこの恋に挑んでいたんですね。頑張ったんですね。と、部長と部長の破れてしまった恋にねぎらいと称賛が含まれているような気がしたから。
私はもともとはるたんは牧くんと結ばれるだろうと思っていたし、それがいいんじゃないかなと思っていた。でも、蝶子さんと決死の覚悟で考えた林檎の皮むき(目線ははるたんロックオン)やブレーキランプやらのかわいい作戦もことごとくはるたんにはハマらない。それでも真っ直ぐに真正面からはるたんに向かっていく部長がね、本当にブラボーでした。
黒澤武蔵のこの恋の武勇伝の締めくくりが武川政宗の「いい恋だったんですね」でちゃんと完結されたことを私はしっかりと見届けましたよ。泣きながらね。
何気なく第1話から見ていたこのおっさんずラブというドラマは7週間かけて私の心の真ん中を通過していった台風のようなドラマだった。今は清々しい気持ちでいっぱいだ。
ありがとう。そして、うん、やっぱりありがとう。
この日、私はドラマが始まる前にお風呂を済ませ、買ったばかりの高っけぇセラミドクリームを顔につけてスキンケアを完了させたにもかかわらず、ドラマ終了後にはその高っけぇセラミドクリームは涙ですべて流れ落ちるという惨状のまま日曜の朝を迎えたこともここに記しておこう。