ドアをノックするのは誰だ?  ②

私は以前からこの子の顔をテレビ越しに知っていた。

アイドルだということも知っていた。

そしてまさか陽だまりのようなあの小悪魔が、

まさかこの子につながっていたとは1ミリも想像していなかったのだ。

2人目の小悪魔はすでにそこにいた。

 

もう正直言えばアイドルという類の生き物には関心すら持っていなかった私だが、うっかり見かけた陽だまりの小悪魔はそーっとやって来たと思えば、次にバトンをこの子に渡し、そして私はついに惹きこまれてしまった。

『今年の夏は事件が多い』

2人目の小悪魔は金田一少年を演じていた。

この年の夏、たくさんの事件を解決した金田一少年のその全ての事件を見ることはできなかったが、本編よりもオープニングのこの子こそ私にとっては大事件だったのだ。まだ子供のように美しい肌を持ちながら、まるですっかり大人なっていたからだ。とても幼い印象しかなかったこの小悪魔は、知らぬ間にとんでもない色気をまとって、キラキラと星をまくような子になっていた。

これが時間の流れというものなのか。大事件だ。

土曜の夜は外出することが多かった私だが、家にいる日はこのドラマに釘付け状態となった。とりわけオープニングだけは見逃すまいと。テレビはつけていてもほとんど見ていないいつもとは違ったのだ。土曜の夜だけは。

 まさかこんなことになろうとは。

私がテレビ越しにアイドルを見てニッコリしてしまう日が来るとは。

私がいちばん驚いているのだ。

ぷうと大きく膨らんでいた偏見はポンとはじけ、残念なプライドはガラと崩れた。

しかし、今はそれがうれしいのだ。

その向こう側に何があるのか知りもせずに、好きか嫌いかを決めつけていた私の重く分厚い扉をノックしたのはアイドルだった。本当に偶然のきっかけだったがボロボロの私にとってはこの子たちの笑顔にだいぶ救われて過ごすことができたのだ。そしてこの子たちが9人のグループだと知って、これからゆっくりこのグループを知っていこうと決めたのだ。

 

年が明けて1か月半。

きっと今年もこの子たちをテレビで見るたびニッコリしてしまうのだろう。